牛は逃げました

朝から憂鬱です。

 

この牛を 手放す日なのです。

 

 

あれほど手間のかかった子を 手放すなんて・・・もう 感情が入りすぎてる。

 

目が入ると いつもそんな気分になるのですが、今回はいつもよりぐずっている私。

 

 

ため息ばかりついている私に 景気付けに言い訳を考えてくれる主人。

 

「やっぱり作れませんでした」って断ったら?

 

「牛は逃げてしまいました」って どう?

 

仲本律子 陶芸作家 ブログ 女性陶芸家 茨城県笠間市  陶器 牛 牛の土面
仲本律子 陶芸作家 ブログ 女性陶芸家 茨城県笠間市  陶器 牛 牛の土面

 

 

牛の土面を頼まれたので 写真や動画を参考に作ろうとしたものの どんどん変になってしまうんです。

 

しっくりこないけど どこを直していいのかも分からなくて 朝までかかりました。

 

朝に起きてきて 見かねた主人が牧場に連れて行ってくれたのです。

 

 

 

その変な牛と粘土と道具を持って 小雨の中 ハエが顔や頭にしつこくまとわり付く中、

 

実物を見ながら作り上げたこの子には よくぞここまで出来たという思いがあるのです。

 

 

そして 目を入れた途端、生き生きとこちらを見つめるではありませんか。

 

 

 

「牛は逃げました」

 

そう言っても許される気分になります。

 

 

仲本律子 陶芸作家 ブログ 女性陶芸家 茨城県笠間市  陶器 牛の土面 牛